ロシアのエフゲニア・カナエワが引退を発表・・・
また華麗な演技を見たかった。
そう思う一方で・・
背負ってきた重い荷物を降ろさせてあげたい。
そんな気持ちにもなりました。
エフゲニア・カナエワ。
ロシア出身の22歳。
主な戦績
ロンドン五輪、北京五輪、個人総合金メダル
新体操世界選手権
2011年、2010年、2009年、個人総合 1位
イオンカップ世界新体操クラブ選手権
2011年、2010年、2008年、個人総合1位
まさに新体操の女王。

2012年イオンカップパンフレット
思いだすのはMCを務めさせていただいた、
2011年のイオンカップ世界新体操クラブ選手権。
新体操という競技に、
初めて触れさせていただくきっかけとなったこの大会でしたが、
そんななかでも、一目見て他とは一線を画す、
圧倒的なパフォーマンスは今でも忘れません。
ダイナミックさ、繊細さ、強さ、しなやかさ、
妖艶さ、感情表現、手具を扱うセンス、メリハリ・・
どれをとっても超一流。
それらを抜群のプロポーションと美貌から繰り出すと、
観衆はあっというまに魅了され、
エフゲニア・カナエワの世界に心酔してしまう・・
まさに新体操をやるために生まれてきたようなひと。
そんな彼女を天才と呼んで、
はばからないひともいるかもしれません。
しかし日々の節制を含めた、
想像を絶する努力あってこそだと思います。
2011年のイオンカップのとき、
実はカナエワさんは少しふっくらしていました。
ふっくらといっても彼女のなかでのふっくらなのですが、
その際、解説の山崎浩子さんから伺った話で印象的だったのが、
「 少しの油断でも余分なものがついてしまうので、
日々の節制は相当なもの。
その生活は20歳そこそこのうら若き乙女にとっては、
大変なことなんです。 」
というお話し。
そりゃ甘いものを食べたくなるときもありますよね。
本人も「食べすぎてちょっと太っちゃたの。これから痩せるわ。」と
コメントをしていらっしゃいましたが、
それでも当然のように優勝しました。
2012年のイオンカップでは来日はされてましたが、
怪我のため出場ならず。
その素晴らしい演技を見ることは出来ませんでした。
彼女の登場を心待ちにしていた
多くの新体操ファンの皆さんが残念な思いをし、
だからこそ、今年のイオンカップでの晴れ姿を、
期待していらしたと思います。
ですから引退を残念がる声が引きも切らないでしょう。
もちろんわたしもその一人です。
けれども・・・
ジュニアの頃から頭角をあらわし、
国や世界中のファンの期待を一身に集め、
青春時代もなにもなくすべてを新体操に捧げてきたその日々に、
ピリオドを打たせてあげたい・・
そんな気持ちになるのも一方では本当のところです。
出場ならなかったことへの悔しさなのでしょう。
昨年のイオンカップ終了後に人知れず涙を流していた彼女・・
新体操を愛する気持ちは計り知れません。
ロシア新体操連盟副会長の任につかれたそうです。
その人柄とキュートな笑顔で、
世界に誇った技術を気持ちを競技愛を、
後進に伝えてくれることでしょう。

2011年イオンカップパンフレット