2015年08月31日

いつかどこかでまた会う日まで

お世話になっていた町のクリーニング店が本日で閉店しました。

家族経営で約半世紀営業していらした老舗店は、

還暦前の二代目社長の判断によりその歴史に幕を閉じることに。

その仕上げはとても丁寧で、

プライドを持って仕事をされる姿はまさにプロフェッショナル。

最後の今日の日にご挨拶させて頂きました。


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わたしが今の町に住まわせてもらうようになり約3年半。

その殆どの日々、

仕事で使用する衣装は全てお願いしており、

とてもお世話になっていました。


親父さんの代で創業し、

かれこれ半世紀の歴史を誇り、

還暦前でいらっしゃる現在の二代目マスターになり数十年・・・


近隣住民の絶大なる信頼を得て、

これまで長きに渡り営業していらっしゃいました。


二代目マスターはいつも控えめで照れ屋で、

通い始めた最初の頃は、

ちっとも話をしてくれませんでしたが、


その内にポツリポツリとお話をしてくださるようになり、

それがじんわりと嬉しかったのをよく覚えています。


いつも会話の口火を切るのはわたしのほうだったのですが、

通い始めて2年半程経った頃、

初めてマスターの方から一言お尋ねの言葉を頂きました。


「何か・・・舞台に立つようなお仕事をされていますか?」と。

そう聞かれた理由は、

わたしがお願いしたシャツに、

メイクの時に使用するドウランがついていて、

それを落とすのに少し苦労されたのがきっかけで、

職業の事情を訊いてくださったようです。


恐らくは・・・

そんなことが数度続いて、

初めて言葉にされたのだと思います。


わたしのような人間に、

そんなお気遣いをくださる必要などないのですが・・・


そんな顧客を慮り、

余計なことは極力口にしない姿勢にも、

感銘を受けたものです。


職人気質のその店は、

親父さんも二代目のマスターも、

仕事に対する情熱は人一倍で、

だからこその周囲から大きな信頼を寄せられていたのでしょう。


わたしが店の閉店を知ったのは今年の8月初旬のこと。

なんだかとてもショックでした。


閉店に至った事情は存じ上げませんが、

のっぴきならない事情があるに違いありません。


二代目マスターは、

「辞めるならこのタイミングしかありませんでした」と仰っており、

本当に大きな決断だったことが伝わってきました。


店をたたむ最後の今日の日。

ご挨拶に伺わせて頂き、

親父さんと二代目マスターとお話をしていて、

頼もしく嬉しかったのは、


「まぁウチみたいな店は、

その辺りの店とは仕事の質が違うから。

お得意さんには高い質でご提供するクリーニングの店が

一つなくなるってことでご迷惑をお掛けしますが、

約1カ月後に、

2代目マスターの従兄が、

ここをついでお店をすることになりましたので、

そちらの方でまたご贔屓にお願いします。

でも、その店も、

2回〜3回出して良くなかったら、

使うのを止めてもらって構いませんから(笑)」


こんなウィットと、プライドと、

愛情に満ちたコメントをくださったことです。


親父さんも二代目マスターも、

何かやるべきことがおありになるのでしょう。

それが何なのかは知る由もありません。


お世話になった方の人生の岐路に直面し、

覚悟を持って生業を全うするその意味を、

若輩ながらも感じさせて頂きました。


親父さん、二代目マスター。

これまで本当にお世話になりました。

どうぞ末永くお元気で。


いつかどこかで、

お二人の元気なお顔を拝見できるその日まで。




posted by tetsu at 21:30| Comment(0) | 日記
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